Ren

2つの人生が教えてくれることのRenのレビュー・感想・評価

2.5
あるパーティーの夜に妊娠検査薬を試した結果、陰性/陽性 それぞれのifの世界を同時進行で描くパラレルワールドストーリー。何も新しい視点や展開は無いけど設定だけで持っていった映画、でファイナルアンサーでいいと思う。

逆に言えば、この設定を思いついた時点で製作陣が力尽きた気がしてならない。
その後の人生を一変させる「妊娠」を中心テーマに据えて、した/しなかった を語るのは題材としてはぴったりだったとは思うけど、その中で起こる喜びも挫折も想像の域を超えてこない。薄い。
「2パターンの人生をカットバックで見せる映画です」というように、見所が一文で語れてしまう映画はやはり物足りない。

学生妊娠が苦難ばかりかと思うとそうでもなく、どちらの世界線でも喜びと困難はほとんど同数。こうなったから幸福/不幸 と断定はしない物語なので、全ての人の人生選択の肯定と拡大解釈できると思う。

その他の不満点は、
○ 好転するきっかけが、環境や周囲の人に依存しすぎ。
○ 妊娠が中心にあるのに、完全に子どもの存在や意思が棚上げされ、親のエゴの話になっている。

あと一つ、疑問なのはタイトル。『2つの人生が教えてくれること』って、啓発法とかドキュメンタリーみたいなタイトルだけど、誰目線の言葉なの?

【余談】20年以上前の『スライディング・ドア』という作品で同様の並行世界設定が使われているそう。そちらは未見ですが、より重大な「学生の妊娠」が分岐点に設定されている点でこちらの作品のほうが効果的ではありそう。
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