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デューン 砂の惑星PART2のRenのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.0
確かにそれなりに楽しめたし、鑑賞よりも体験という言葉を使いたくなるのもとてもとても分かる。けど、流石に前作から評価跳ね上がりすぎじゃないか〜?とは思った。その辺りを紐解きたい。原作未読。

約2年半ぶりに見返した上で、PART1
めっちゃ面白いじゃんというスタンスで臨んだ。ルールも専門用語も多すぎる特殊な世界を説明方にならず語っていく導入部、バキバキの硬質なガジェットと砂漠や砂虫の流動的や迫力の対比など楽しめる要素がいくつもあったので、輪をかけて評判の良い今作も大いに期待した。

ただし悔しいかな、2が前作より抜きん出ている部分って実はそんなになくない?という雑感が拭えずややモヤモヤした読後感に。前作を好きな人は今作も好きだし、前作にハマらなかった人は今作もそこまでだろうなと直感で思うくらいには、同じような完成度だと思った。
随所のアクションは見応えが増している。話が進んでいる感もある。が、特に前半が(後半もだけど)殆ど砂漠で進行するので、体感の冗長さも増している。良いところも悪いところも増量して結果的に受ける感動は同量になっているような気がした。

物語はとても分かりやすくなっている。覇権争いに燃えるアトレイデス家とハルコンネン家、さらに皇族と先住民族フレメンによる四つ巴の戦いに砂虫が加わった五つ巴の戦いは壮大なSF叙事詩に相応しいスケールの大きさだ。
先住民族を白人男性が導くという中心ストーリーは西部劇チックであり、後の『アバター』などにも影響は与えているだろう。主人公の血筋の話は「スター・ウォーズ」「ハリー・ポッター」に繋がるのかな。とても後の王道に影響を与えたことがよく分かる。

諍いの中心に母性が存在している点は『灼熱の魂』のドゥニのエッセンスを感じる(ロケーション含めて)。他方、母性信仰的な勘もありつつエンパワーメントな女性映画でもありつつ女性をトロフィーとして男性性の横に添えるような展開もありで、女性映画だけど女性の何映画なの?とやや見方に戸惑ってしまった。原作発表当時の価値観と現代の脚色が点在しているように思う。

内側に響くような重低音は間違いなく劇場案件で良かったし、このシリーズで最も面白い砂虫のシーンが増量されていたのも嬉しかった(ただし前者は1も同様だったので、今作ならではの功績ではない)。全体としては、面白いぞ、と思った次のシーンでしゅんと熱が冷めてまた盛り上がる、の繰り返しで結構評価が難しい。時間をかけた割に色々なイベントが呆気なく終わってしまうのも淡白に感じた。キャラクターが切り捨てられていく感じ、語らなきゃいけないことが多いからこうするしかないのかな....。

その他、
○ 2の高評価、「1をチュートリアル代わりの踏み台としたから今回のめり込めてる」というバイアスありきでは?と勘繰ってしまう。
○ ポールが砂虫を乗りこなすシーンが断トツで好き。重力の制御を外してぬーっと浮き上がる序盤の演出も好き。あとはシャラメの全力滑り込みダッシュ。
○ 前作の毒ガスみたいな、西暦10000年なのに古典的な面白ガジェットがもっと見たかった!
○ オースティン・バトラー、『エルヴィス』で既にオファーは絶え間無いだろうけどこれで売れっ子の称号は確約された。もっと暴れてもよかったよ。
○ 全編IMAXフル画角の映画初めて観た。
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