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宮松と山下のdarumaのレビュー・感想・評価

宮松と山下(2022年製作の映画)
4.0
WOWOWで。これも観たかったやつ…!個人的に香川照之さんは半沢直樹よりも「ゆれる」派です。期待通り!

事前にピタゴラスイッチの佐藤雅彦さんが監督として携わっていることは知っていました。で、冒頭にスポンサー表示で「dentsu」の文字…えっっ!?って思った。。そういう感じなの?と。後で調べて知りましたが、佐藤さん御自身が電通出身なのですね。なるほど。

私の抱く電通のイメージはわりと大衆受けっぽい感じでしたが、これはまさに香川さんの為の作品という印象で、そういう下世話感は少ないです。とにかく、演技を堪能するための作品。

ストーリー(骨子)はぶっちゃけ、ひねりはありません。
結構ストレートだと思います。
ただ、演出が上手いというか、設定と演出の絡め方が絶妙…
(ピタゴラスイッチっぽい!と思ってしまった。数学的というか…計算?←思い込み激しい)
何故、エキストラを取り上げているのか。
そこが肝です。

エキストラで何回も殺される香川さんは何となく歌舞伎を連想してしまって(笑)、ちょっと滑稽な感じはしなくもないですが、私は香川さんが結構好きなので、ずっとニヤニヤしながら見ていた(変な人か!笑)

どこまでが劇中劇で、どこからが現実なのか…
その境目に驚くと思います。

ちょっと台詞が少ないので、やや眠くはなりますが…
(意図的に極限まで減らしている系だからだとは思うのですが…これは後で監督インタビューを読んだらやはりそうでした)

香川さんはエキストラをしながらロープウェイで働いているんですが(そこも「ゆれる」を連想してしまった…)、宙ぶらりんな感じが好き、みたいな台詞があり、これも絶妙だなと思った。

香川さんの為の作品ですが、脇固めも豪華。
まず大鶴義丹さんが出てきて、いかにも!な役(笑)
黒田大輔さんもホントどこにでも出て来るなぁ…
女性陣が野波麻帆さん&中越典子さんというのも、いかにもすぎる。
尾美としのりさんでまた「日曜の夜ぐらいは…」を思い出してしまった。

津田寛治さんが「ONODA」に引き続き、見事でした…!何気に作品選びがめちゃくちゃうまくないですか!?
(でもフィルモグラフィ見たら、すれすれの作品に出やすいのかな…?そういう所がまた好きなんですけど。ハザードランプ、ONODAの遠藤雄弥くんと出てたんですね。ちょっと観てみたかった…)

ちなみに尾上寛之さん、エンドロールで「そうだ!出てるって公開時に見かけた」と思ったのですが、どこに出てた…?ロープウェイの人か!!
しまった香川さんしか見てなかった。。

監督は、前述の佐藤さんの他に関友太郎さん、平瀬謙太朗さんの三人の共同名義になっています。
関さんは朝ドラの「マッサン」の演出や大河ドラマの「麒麟がくる」のプロデューサーをされていた方、平瀬さんは「百花」の脚本…(そうなのか!!ここはうーんという感じだが。。)
お二人とも、佐藤さんの東京藝大の研究室出身の方みたいですね。

久しぶりに香川さんのこういうの来た…!と思っていた所にあの事件、なかったら絶対話題になっていたと思うのに…勿体無い。
純粋に、作品としていい感じだと思います。心理描写が巧み。
この表情の作り方は、香川照之さんにしかできないと思います。
単館系が好きな方におすすめ。
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