邦題は的確かつ率直な訳。
「写真家ナン・ゴールディンvs.サックラー社」をめぐる、beautyとbloodshed。自らのアートを用いて、社がやらかした失態に抗議する。ピルケース投げたり処方箋ばら撒いたり、デモ活動そのものがアートパフォーマンスとなる。
「ナン・ゴールディンという一人の人間」の辿った過去に潜む、beautyとbloodshed。写真が切り取る日常の美しさ、そして喪失を通して感じる痛み、苦しみ。
伝記・ドキュメンタリーとはいうても、その対象である本人が、自ら撮った写真とともに自らナレーターになって語りまくる変わった作り。これにヴェネチア金獅子賞がもたらされたという事実は、かなり粋である。