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熊は、いない/ノー・ベアーズのsnatchのレビュー・感想・評価

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2010年より、二十年間映画制作を禁止されているイランのパナヒ監督がまた私達へ送ってくれた作品。イラン国内では上映禁止
でもまたこの状況を活かして思いもよらぬ作り方で飄々と作っている!そう最初は見えていたが、さすがのパナヒ監督も…

「人生タクシー」はそれでも行こうとしていたが、この映画は話しを複雑に落とし込んできた
内容に触れています





映画の中、国境いの村からリモートでトルコでの映画撮影を指示している。Wi-Fiは途切れがち。カメラはその監督の姿を撮る。創作活動するつもりが、監督は滞在している小さな村のトラブルに巻き込まれていく。映画撮影の現場では主役の男女に事件が起こる。すると監督はそのまま二人の私生活に密着していけって、残酷でもあり凄いな

更に今回はかなり踏み込んで各場所で国境を越えるボーダーラインをずっと上げ下げしている

ある村を人々をその日常を写しているだけで、イランという国の色んな断面が映ってくる。監督に向かってくる女優の叫びも凄い。この映画完成の後、監督は逮捕された


皆んなが皆んな民主的な平等な社会に変革が必要と感じていない国の中で生きていくのは辛い。パナヒ監督の「ある女優の不在」でも同じ事を思いました
自由を求める人ほど、身も心も撃たれていくのが本当にやるせなく悲しく絶望感が溜まっていくのが今のイランの状況なのだろう
熊は、いない
自由に映画を作りたい!
他の国に自由に行きたい!
好きな人と一緒になりたい!
恐れるものなんて何一つないこんな普通の事そのはずなのだが何もかもが正反対

じゃあ、国境を踏み越えればいいのだ。パナヒ監督なら難しくはない。でも、それはしないパナヒ監督
一体次作はどうするのだろう…パナヒ監督の表情に、最後、静かなる怒りを見た


パナヒ監督からのお手紙のような気もするので点数はなしでお願いします
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