この世に原爆を作り出した人について取り組んだ監督はいなかったから、クリストファー・ノーランを尊敬します
以下、内容に触れています
クリストファー・ノーランの世界にケチつけてはいけないが、引っかかたのが1点。トリニティ実験に乗せる音響。最高級のエンタメ並みに煽られた。ここは実際の会話、音のみだけで十分緊張すると思った。だからこそ爆発をもっともっと轟かせてくれ。成功するように失敗しないようにという緊迫感でどきどきな現場だったのは事実なんだろうが。
また私は「クローズアップ現代」に出たノーランのインタビューを見て、原爆を落とした後の彼が死ぬまでの苦悩がメインだろうと思っていたのだが、映画の後半はオッペンハイマーの水爆開発反対は無視されて赤狩りの獲物となり腑抜けになっていく彼とアイアンマン⇦最初、誰だか分からなかった! のセコい嫉妬による画策がメインになっていく。これが正しい歴史だと思うと、いい加減にしろ！と怒鳴りたくなるが、こんなものだ。国がらみの内情は。
オッペンハイマーという人間は興味深かった。物理学より苦手な人間関係。でも影のある女性に近寄っていっちゃう。重要人物になるに連れ世間慣れしていく部分は普通人。
純粋に物理学を愛し倒し、ナチスを刺し倒す為にと強い意志で始めた研究の成果を馴染みのないアジアの小国で仕上げてしまったというのが、日本人として鑑賞していて、やはり開いていた手がグーになっていく
私も外国人と同じで、あの時の軍部、日本人は一億玉砕するまで降参しなかったとは思う。でも、この映画を観て「原爆落としたからあの戦争は終結した」と外国人が言う前に、少し言い澱んで欲しいなと思った
日本の戦争映画も観直そうと思いました
