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ボーンズ アンド オールのSUのネタバレレビュー・内容・結末

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

カニバリズムがもつ非人道性や残虐性は当然人間社会において認められるものでは無く当人は誰にも打ち明けられず家族友人何処にも味方などおらず衝動と孤独に追い詰められていく。
正に現代における多様性を表層でのみうたう社会の虚構の中で阻害され攻撃されるマイノリティ(非人道は当然許されるものではないが)である若者の姿と生き方の模索について描かれている様で共感に容易い。一方でご飯の時間はスプラッタ表現MAXで描かれておりこれがカニバリズムの衝動や残虐性を視覚的に映しているわけだがサリーのストーカー性やラストの気色が悪すぎるムーブはもはやカニバルな食欲では無く性欲である。そうして観ると本作でカニバリズムは性欲の象徴としても紙一重的に写すこともでき性的マイノリティを意識して観る事ができる。白タンクトップブリーフ四つん這いで飯にありつくサリーに対してリーの飯食いシーンがイケシャラ過ぎるという露骨な対比ですら性のルッキズム示唆に見えてくる程だ。
多々あるスプラッタ描写は置いておいてもマレンがリーと出会いトラックで放浪し始める場面からは80sアメリカのロードムービーでそれを彩る画や既存の楽曲達は終始溜息が出る美さであり、全体のサントラ担当はやはりNINの2人という感じでRAW状態(鼻血)だった。
結末はリーの妹のケイラがサリーに殺されているというセブンを思い起こさせる程の凶悪胸糞展開を挟み、タイトルや水辺で出会った危ない男の台詞を回収する様にマレンがリーを"骨ごと食う"事で愛を昇華し華麗な終劇となった。
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