「サタンが街にやってくる」
デヴィッド・ハーバーがサンタになって悪い子を血祭りにするお話。
サンタがもっている悪い子、いい子リストに従って悪い子には容赦のない制裁を加えるサンタ。非戦闘民族のサンタがどうしてこんなにも強いのか。サンタとサタンは紙一重なんていう馬鹿なとんちを利かせたわけじゃあるまいな。
この誰しもが思うであろう疑問を、とてつもない強引な設定で乗り切ってみせた。それは、彼がサンタになる前、スカルクラッシャー（ハンマー）を武器に戦う戦士だったという異世界転生ライクなものである。とはいえ、現代兵器で挑んでくる敵の武装集団にそこそこ手こずり、子供の力（『ホーム・アローン』のピタゴラスイッチ）を借りながら勝負を挑む。
ハンマーをもったデヴィッド・ハーバーサンタは誰にも止められない。少女に贈り物を届けるまでは・・・。
本作の素晴らしいところは、その強引な設定をノリですべてカバーしきっている&大人が頑張れば屈強な敵でもちょっとは立ち向かっていけるのだという勇気を与えてくれるところだ。それはもちろんサンタの活躍だけではない。子供やそのまわりにいた大人の逆境に立ち向かう姿、それこそがサンタに力を、オラに元気を分けてくれるのだ。
大人になった私でも「こんなサンタがいたのなら」とちょっとはサンタの存在を信じたくなってしまった。そしてサンタが街にやってくるその日まで、いい子であり続けようと誓った。
