「悪党はレーズンの目をしている」
シングルマザーで育ったイライジャ・ウッドに、突然父親から連絡が来て、彼のUFOみたいな家に訪問したら、えらい目に遭ったお話。
『ロード・オブ・ザ・リング』以降のイライジャのホラー作品への活躍は目まぐるしいものがある。とくにへんてこなモノに好んで出演しているが、どれもちんちくりんなイライジャにぴったりな役どころで好感度が高い。
映画にはちょっとしたミスリードが用意されているが、その展開自体はそんなにめずらしいものではない。その点では、ホラーのジャンル映画としてみたとき、パンチに欠けるのは否めない。それでも、ウィットに富んだ会話&ちょっぴり泣かせるラストに居心地は良い。
「死人に口なし」と言われるように、死んでしまえば何も語り合うことはできない。つまり、死の直前に彼らが起こした行動、それが最後の遺書になるわけだ。残された人間は、言葉で語り合うことはできなくとも、彼らの遺書はしっかりと心に刻まれ生き続ける。
最後は親父がどうなったのかはわからない。それでも、何かを語ってダサい生き様をみせるより、そっと手に触れるくらいの愛情表現が実に粋だと思えた。きっと彼の目は”レーズンの目”じゃなかったはずだ。