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ラストキング・オブ・スコットランドのLocDogのレビュー・感想・評価

3.4
「ウガンダ・フォーエバー」


ジェームズ・マカヴォイがウガンダの大統領フォレスト・ウィテカーと仲良くなったら、だんだんヤバい状況になったというお話。

マカヴォイの父親が「お前は優秀だが、私ほどではないね」と絶妙な嫌味をとばしてくるもんだから、「やってやるよ」と意気込み、異国の地で医師をするためウガンダに行くマカヴォイ。現地のことをさっぱりわからないまま、なんやかんやで大統領のお抱え医師までのぼりつめ、次第には政治にまで参加していくことに。

一方、ウィテカーの政治の状況が悪化するにつれ、どんどんと大統領の悪の顔が明るみになっていく。そんな中、ウィテカーの妻の一人と酒の勢い&彼女のプリケツが猛烈に気になり、いい感じになってしまう。それを知った大統領は、「私の村では妻を寝取ると、木に吊るされるんだ」と信じられないローカルルールをマカヴォイに告げる。こいつはまずいぞ、マカヴォイ。どうする、マカヴォイ。と言った具合に物語は進んでいく。

映画は史実に基づき、大統領の在任中に殺された人数は30万にも及ぶという。その数、実に東京ドームの収容人数のおよそ5倍。うまい棒の値段で例えるなら、2万5千本分と同じ数字ときた。高くなったもんだ、うまい棒。とりあえず、とんでもない人数であることはたしかだ。

この悲惨な事実を映画にしたとくれば、それはもうとんでもない映像になるもんだが、意外にもそのへんはあっさりと描かれている。ところが、1点、あるバラバラ死体のシーンだけは強烈なものに仕上がっており、デビルマンのヒロイン「美樹」の生首シーン並にびっくり仰天であった。(誰にも伝わらないとおもうが、刃牙の烈海王による「共に分かち難く」を思い出したりもしたのはナイショ)

とはいえ、最後の「とりあえず物語を〆ました」と言わんばかりに急なフェードアウトには、カタルシスを得ようがないのも事実。また、反対勢力側の事情があまり描かれないことから、何が起こっているのかわかりづらいのも頂けない。アミン大統領がかわって以降、なんやかんやあって国内政治は安定するようになったらしいのだが、トランスペアレンシー・インターナショナル(汚職に対して取り組む国際非政府組織)による汚職ランキングでは毎年下位にランクされているのだそうだ。

ひとまず、こんなウガンダ・フォーエバーすることがなくてよかったと思う反面、まだまだ、問題チョモランマ積みのようなので、解決に向かえばと願う。
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