FutosiSaito

福田村事件のFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.0
 「のび太のくせに」が強くなってしまった現在日本の姿。
 かって戦争で勝った相手であり、占領した相手を低く見る。セクハラを訴えるタレントが韓国だから、(露出度を根拠に)非難する。汚染水(処理水)に抗議するのが中国だからエビデンスがないと言う。民族差別だ。
 フクシマ原発事故直後に、知人がフランスに送った米が突き返された。その時の計測値が低くても毎日24時間の「積算」が根拠だった。
 欧米に対しても、同じように非難するのか。
 原子爆弾を投下したアメリカには抗議しないのか。
 政府やトップの政治家がこういう態度なのだから、世間にも伝播する。
 自分らが暴力をふるい、後ろめたいからこそ復讐を恐れる。
 近くに戦争があったので、経験もあり武器もあったことも、この事件の原因だろう。
 報道のありかたはもちろん、暴力とは何か、自警という名のリンチや誰に対しての暴力は許されるのかなど、ほんとうに考えさせられるというより考えてしまう。
 そのためにも、他の映画のように「女子供は助かる」というお約束な描写はない。事実がそうなのだからだ。
 見終わったあとの重い空気が、この映画の威力を語っている。
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