FutosiSaito

PERFECT DAYSのFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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 質素な独り暮らしといい、題名といい西川美和監督の『すばらしき世界』に似ている。が、こちらは視点が何よりも違う。
 ヴェンダース監督の見た東京、水路が多くて坂も多い。首都高の立体交差なども、あらためて新鮮だった。
 トイレの清潔さや、銭湯、コインランドリー、雑踏など日本的な要素(や光景)も取り入れており、「ヘンテコな日本」描写がないところにも、監督の日本愛が感じられる(『ジョン・ウィック・パラベラム』の日本と比較するとよくわかる)。
 そして、イメージシーンと説明のなさ。セリフも少ない。
 そこがいい。
 企画先行の日本映画は、わかりやすすぎるどころか、説明セリフまで多くて辟易する。
 主人公の日常から、かっての仕事ぶりなども想像させ、よけいなセリフを配し、まさに光と影の映像で表現する。
 『さすらい』から『パリテキサス』まで、ロードムービーにこだわったヴェンダース監督は、軽ワンボックスや自転車での移動を続ける主人公で、ここでもロードムービーをしている。
 短時間のトイレプロジェクト企画だったそうだが、こんなすばらしい作品になった。役所広司と監督の力だ。
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