英雄でありながら、戦争をし続けた指揮官でもあるナポレオンを、終始暗いトーンで描いた。リドリー・スコット監督は史実の職人であり大家だな、もう。
ホアキン・フェニックスのしかめっ面と微妙に抑えた演技が渋い。単なる激情型の将軍にせず、情けないところも見せてくれる。
フランスは、せっかく革命を起こしたのに恐怖政治や混乱が起こり、次の英雄ナポレオンも結局は「皇帝」を名乗って帝政になってしまう。そういう歴史の皮肉さや、ヨーロッパの集合離脱をも描いている。
確かに長い映画なのだが、振り返ってみると、戦闘シーンのスケールといい、面白さが満載だ。
監督はいい年なのに、パワフルに撮り続けている。次作にも期待。