このレビューはネタバレを含みます
大正末期の関東大震災直後、「香川県の被差別部落から千葉の福田村にやって来た行商の一行が、朝鮮人に間違われ殺害される」という事件を題材とする作品。
コロナ禍で自粛警察が話題になったことは記憶に新しいが、人間は100年前から全く進歩していないのかと愕然としてしまった。
劇中で描写されるような直接的な暴力は少ないにしても、言葉の暴力で人を死に追いやるなら同じ事だよね。
何だか自分が人間であることが恥ずかしいと思ってしまう。
「何か良くない出来事が起こったら誰かのせいにしないと気が済まないのが人間の性なのかな」とか、「人間は自分と比べて異質と思うものを排除するようにできてるのかな」とか、鑑賞中は色んな考えが脳裏をよぎった。
ハンセン病患者のことにも共通すると思うけど、国が率先して差別を助長するってのは異常な状況だとつくづく思う。
これまでの過ちはなかったことにはできないから、今を生きる我々はそういった事実と真に向き合う必要があるんだなと実感させられる作品でした。