『A2』『FAKE』等のドキュメンタリー映画作家森達也、初めてのフィクション作品。しかも題材は、関東大震災時の朝鮮人虐殺事件の一つということで、一体どうなるんだ？？と思って観ました。。。すごく良かった！👍👍👍👍もっと変わった独特の作風か？と思いきや、結構正面切ったストレートなドラマだったのでちょっとびっくりしました。福田村事件も初めて知りました。これは観るべき、というか日本人は観ないといけない作品ですな。今いろいろ日本大丈夫？と思えることが多すぎるだけに、単なる昔の話とは思えない今も十分あり得ると思える恐ろしさ😱
🎞️列車に二人の夫婦。あきらかに他の乗客とは不釣り合いなモダンな雰囲気。前の席に戦死したらしい遺骨を持った喪服の女性と会話。「戦争にいい戦争なんてないですよ」～はじまり
📖1923年、故郷の千葉県福田村に澤田夫婦は朝鮮から帰国し農業を始めるも、村の人々となじめない。村では名誉の戦死として在郷軍人会の宴会が開かれている。そんな折、関東大震災が発生。流言飛語が飛び交う中、香川から薬の行商人たちがやってくる。。。というおはなし
⚠️基本ネタバレです！！！
単に事件そのものとその後の展開等を描く作品ではなく、最後の事件に至るまでの登場人物達の日常を丁寧に描く群像劇でした。主人公は一応冒頭の夫婦みたいだがそこに集中するのではなく、福田村の村人（それもいろんな立場の人々がいる）、そこに事件にからむ香川からの薬売りの一行、千葉日日新聞の記者などなど、、、それぞれにそれぞれの日常を過ごす普通の人々が、いかにして凄惨な事件に至ってしまうのか？を描いている。そういう意味ではジャーナリスティックなイメージの森作品としては意外な感じもするが、特別でもない普通の人々がいかに恐ろしい犯罪や事件を起こしてしまうのか？を問い続けた森監督らしいといえばそうかもしれない。
とにかく今作キャストがみんな素晴らしいです。澤田夫婦：井浦新と田中玲奈。あのなっちゃんが良い女優になりましたなあ。性等奔放さとラストの骨太なところとか見事。
船頭役の東出昌大凄くいいすね。あちこち女性に手をだして村でも噂の色男役。これ本人そのものやん🤣当て書きか？と思うくらいハマってます。なんだかスキャンダル後サバイバル生活しながら、すっかり優男からワイルドイメージに変わりましたよね。舞台挨拶の発言とかも凄く良いこと言ってる。なんか一皮剥けた感。これからも要チェック俳優ですよ。
あとやっぱり、水道橋博士がやばいです！在郷軍人会の長谷川役。当時の価値観を凝縮したような人物。ある意味この作品の事件に至る、一番重要な存在といえる。まっすく真面目に国の為を思ってやった結果が、、、最後の嘆きの腹立たしさとそうなってしまいそうな恐ろしさ。
薬売りの頭領役：永山瑛太とその一行もよかった。ちょっとどの役にもあれこれ語れそうな。有名俳優から脇に至るまで良い役者さんがしっかり役をこなし、低予算でも美術もとてもしっかり作られて、とても厚みを感じる作品です。
福田村事件は単なる朝鮮人差別だけでなく、いわゆる部落差別も含んでいて、薬売りの一行が自分たちと朝鮮人どちらが上？とか言ってる話とか、被差別が別の差別をする構造とかも描いてる。
結構、濡れ場描写があることが賛否ありますが、自分的には全然いいと思った。性も立派な日常ですので。森監督がインタビューでここら辺必ずしも本意ではないと発言している。今回の作品は脚本組（佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦）が結構厚みのある人達なので、影響力が強いらしい。いろんなスタッフが絡んで影響し合うのもフィクション作品の醍醐味。森監督のディレクターカット版もあったら観てみたい感じ。
。。。そうして問題のクライマックスの事件に至るわけですが、、、ああなんで駐在さんを誰も待てなかったんだろうねえ😭
ああいうどんなに言っても聞いてもらえない全く冷静さを欠いた状況って、まさに今のマスコミSNSの状況そのものだから全然他人事昔のことじゃないですよね。まさに、、、後の祭りというべき。最後の縛られた一行達の必死の水平社宣言は泣ける。
色々良いシーンあります。朝鮮飴売りの娘の「私の名前は～」とか、瑛太の｢鮮人なら殺してええんか？！」とか。このセリフは日本人ならみんなこの時点で刺さる。
記者の女性がとてもまっすぐ真面目でこの人だけ正義良心の代表みたいですが、実際は朝鮮娘も助けないし、結果的には記事描いてないんだよね、、、あのリベラルな村長もそうだけど、いざとなると無力なインテリという厳しい現実。色々考えちゃいます。
この作品2回見てますが、2回目だともっと良いいですよ。泣ける。今のところ日本映画で今年ベストの1本。
あとこの作品を制作するキッカケになったという、中川五郎の歌う福田村事件が凄い😭配信でも見れるので見てくださいな。
