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映画 ネメシス 黄金螺旋の謎のDDDのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ドラマ版も観ていて面白かったし、入江悠監督の作品であるので公開を楽しみにしていた。公開初日、スクリーンへ。

ドラマ版が、一話完ミステリーの間で主人公・アンナの出生の秘密に迫り、終盤ではその秘密による陰謀に巻き込まれ解決まで至っていたので、映画では一話完結ミステリーに戻るかと思っていた。
それが、いきなりゲノムベイビーというアンナの秘密にストレートに関わる内容だったので予想は大いに外れた。
完全にドラマの続きになっている上に、倫理的に重い内容を伸ばしていく正面突破ぶりに恐れ入った。

ゲノムベイビーの研究テーマを狙う集団、アンナが連夜みる悪夢、果ては夢に出てきた悪党・窓がアンナの目の前で殺されて、しかし死体は運び去られて現実だった証拠もない、という前半の展開はテンポよく、アンナの心境そのままに謎に包まれていった。
そこから、悪夢を見せる機械の正体とか、悪夢そのままに親戚である凪紗が殺されてしまうとか、さらにたたみかけるように話が進み、最後にはその悪夢を逆手にとって犯人を捕まえるところまでやはりほとんどノンストップで進んでいく。
中盤には刑事たちがトラックに押しつぶされたり、後半にはアクションもあったり、ビジュアルも豊かに描かれていて、大作感のある内容だった。

終わりまでいくと、暗殺者チームとヤンキー集団と派閥が分かれていたようで、実はヤンキー集団と凪紗が繋がっていた……というような謎解きもされるのだが、凪紗が殺されたとき鉄パイプじゃなかった謎なんかは、ちゃんと解かれずに終わっていたような?とか「窓」に命じた黒幕については具体的に出なかった、など、若干気になることもないではないが、ゲノムベイビーの研究結果を世界中にばらまいた、という解決方法は前向きで面白かったし、全世界一斉配信というのも現実性との際をつく面白い仕掛けだった。情報発信の後に風真がラップを披露しようとしたのは、サクラップとの仕掛けだろう。思わず笑ってしまった。

数えたカットは1037。
オープニングからワンカットなのかカットが繋がっているのか迷うシーンがいくつもあり、カウンターを押したり押さなかったり。
夢と現実を行きつ戻りつするカットもあるので、こんなに少なくはないと思うのだが、ひとまず。

ゲノムベイビーの倫理性とか格差社会の問題とか、投げかけだけでメッセージ性はあまりなかったように思うが、エンターテイメントに振り切った作品として楽しむことができた。
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