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夜明けまでバス停でのDDDのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

コロナ禍がきっかけで、ホームレスになってしまう主人公。
そこに至るまでの内容はとてもありそうな話で、見ていて心がいたたまれなくなった。主人公と一緒に首になった、居酒屋の同僚たちもそれぞれの事情でバイト生活をせざるを得ない状況になっていて、その状況にも心が痛む。
それに対して主人公が勤めていた居酒屋のマネージャーによる不正が明らかになる過程は少し胸がすく思いがするのだが、それでも主人公への直接の救済にはならず……。

と、そこまではわかるし、政治批判が入るのも当然の話ではあるのだが、アナーキズムの老人が入ってくるあたりで物語が歪んでしまったように感じた。
ホームレス女性が殺されてしまった事件に着想を得て創られた今作であるがゆえに、バス停で眠りに落ちる主人公に、レンガをビニール袋に入れて男性が近寄る冒頭のシーンを見ると主人公が殺されてしまうことを当然に想像するので、最初から暗い気分になっていた。
それに対して、その殺害を主人公を探していた居酒屋の社員によって止められたのはっフィクションならではの救いなのだが、退職金まで持ってきてくれた彼女に対して「あなた爆弾に興味ない?」はなかろう。
疑似爆弾騒ぎに興じる老人たちというのがちょっと「ないなー」と感じていただけに、そこに引き込まれてしまった主人公の心境にも無理矢理感を覚えた。
現実を元にしたフィクションに、フィクションならではのストーリーをつけるのは必要だし、そこに創作者の意図をつけることができるのだが、屋上屋を架してしまったように思う。
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