まみた

の方へ、流れるのまみたのレビュー・感想・評価

の方へ、流れる(2021年製作の映画)
3.6
見ず知らずの二人がとあるきっかけで出会い、お互いのことをぽつぽつ語り合うだけの物語は、二人の会話だけで構成されている。

出会い、お互いを知り、好きになっていく過程を会話を通して観ているのだけど、
それぞれが話す自分のことは本当は偽っているんじゃないかと思った。

架空の自分を互いに生きていて、話していく中でそれぞれの行動や考えに対して言い合いをするのだけど、
その部分は偽りの中の本音のような気がした。

自分のことを本当に知っている人には話せないけど、
自分のことを知らない人には話せてしまうということがあるように、

好きな人にはなかなかぶつけられない感情や、自分の醜いところを、もう出会うことがないようなその場限りの人の前では曝け出せるような。

もし自分がその状況にあったら絶対素性をあかさないだろう。
住んでる場所や職業を偽るだろう。
でも、たとえ作り物の自分を演じたとしても、感情の動きや思いは、本当の自分自身のものが出てしまうと思う。

この二人の関係を『ナンパで出会った男女の一日』と表現すると、あまりにも安っぽくなってしまうのだけど
そのぐらいの距離感の男女が1日を過ごす過程を見届けて
その関係性から何か伝えたいことがあったのかなあと思った。

こういう関係性は、現実でありえることなんやろうか。自分では考えられへん。トラウマになりそう。

最後のシーンはなんか傷ついてしまったし、里美の感情が読み取れない表情から恐怖を感じた。

最後に、
唐田えりかさん、おかえりなさい。

『寝ても覚めても』で存在を知り、
掴みどころない表情、特に目がすき。吸い込まれるというか、唐田さんが映ると、離せなくなって周りが目に入らない。

またスクリーンに現れてくれること楽しみにしていたので、作品を通して再び出会うことができてよかった。
まみた

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