ヒノモト

ヒトラーのための虐殺会議のヒノモトのレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
4.1
1942年にベルリンで行われた「ヴァンゼー会議」の議事録を元に、映画化された作品。

本当に会議だけの映画でした。
非常に理路整然と1100万人のユダヤ人の虐殺の具体的で効率的な方法やその区分けが決定していく様を見つめるという視点を、その後の歴史を知っている80年後の私たちがどう感じるかというある意味恐ろしい戦争映画だったと思いました。

映画内にも台詞にある、この前年にバビ・ヤールでの3万人以上のユダヤ人の銃殺があり、日本軍の真珠湾攻撃が行われた翌月の出来事で、ナチスドイツの思想実現とユダヤ人問題が大きな懸案であったことが分かるのですが、すでに行われている実例を元に、実行権力のある人たちがそれぞれの立場の中で、会議におけるスタンスの違いが現れていて、結果としての違いが、戦中戦後において、運命を左右する結果になることを予見しているのが、すごいです。

平たく言うと誰を選び、殺害場所に移動させ、できるだけ精神的負担の少ない殺害方法を決める会議だった訳で、当時の空気感、戦争という勢いの怖さをひしひしと感じます。

このような内容を当事国のドイツで制作されていること、過去について客観視ができていること、映画としての切り取り方を潔く、大変良かったです。

追記
差別表現が飛び交う、非人道的な内容ですが、昔話や他人事で片付けられない、現代に照らし合わせで、個人の命の価値を検証する、良質な映画だと思いました。
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