ちこちゃん

正欲のちこちゃんのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
普通とはなんでしょうか、ということを問いかける映画です
そして使い古されている「多様性」という事とは、実際の生活では何を指すのか、ということも特定に対するフェティシズムを題材として問いかけています

普通であるフリをするために、生きていくことが辛い新垣結衣さん演ずるイオンの寝具売り場で働く桐生夏月、その同級生であり死にたいと思っている磯村勇斗さん演じる佐々木佳道、自分以外の人になりたい大学生、諸橋大也を演じる佐藤寛太さん、男性が怖くて過呼吸になる神部八重子役の東野絢香さん、それら異なる環境でありながら、他者と繋がりを持てない4人が群像劇のようにそれぞれが生きながらクロスオーバーしていき、回収されていく筋はうまくできているとおもいました、そして、「普通とは」「人と繋がることとは」というテーマを掘り下げ、観客に問題提起をすることに成功している映画だとおもいます。

そして、普通を代表する役であり、息子が「普通」でない稲垣吾郎さん演ずる刑事である寺井啓喜がこの5人に交わっていきます。
今時の映画として、YouTubeが一役かつていることもなるほどと思わせるものがありました。

磯村勇斗さんと稲垣吾郎さんは安定の演技、新垣結衣さんはこんな役ができるのだと驚きでした。そして、東野絢香さんが素晴らしかったです。

多様性を重んじると表層的に言われている今ですが、普通であることや均質的な価値観を求められ、ズレていることを表すと攻撃される同調圧力がある中で、特にそれが性的嗜好であるとなおさらであり、息ができない人々が居るということに気づかされ自分の想像を超えることにどう向き合えば良いのかと考えさせられました。
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