してぃぼ

正欲のしてぃぼのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.3
多様性を尊重しよう!と口先だけでは言うけど結局その人の想像できる範囲でしか多様性ってないよね vs だとしてもそんな人たちの事を心の底からわかりたい と思ってるし私は味方でいたい という原作の構成が個人的には好きだったけど、映画ではそこが薄かった印象。

①特殊な嗜好を持つ人間に対して後ろ指を刺す人、②多様な価値観が尊重されるべきという気持ちは持っているけど結局は上辺だけの人、③特殊な嗜好を持つ当事者、の3通りの人たちがいる。世間的に多様性を尊重する流れになっていて、②のような意見を発信する人が多いけど、実際③の人たちにとっては、それが自分が想像できる多様性で気持ちよくなっているだけで、ただ単に自分をよく見せる道具として使っているだけ。でも確かに②の人たちだって、マイノリティの気持ちを理解したい、って心の底から思っている人だっているから突き放さないで。というストーリー仕立てだった。この②と③のぶつかり合いに感じるものがあったのに、映画は結局やっと③同士助け合って生きている相手が見つかったのに、①はなんで分からないんですか、というだけの見せ方だったのか残念。

神戸さんの存在は大きいと思っていたが、あんなに引っ込み思案なのにダイバーシティフェスの運営に何故参加していたか、バックボーンがどうだったかという背景が説明されないまま進んだので、最後の講堂パートで響くものがなかった。

とは言え幹となる人物が多い群像劇なので尺的に難しかったのかな…とも思う。ガッキーや稲垣吾郎中心の描写になるのは役者の知名度的にも仕方がないし。むしろドラマサイズで観たかった作品でした。
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