若い女性がガソリンを掛けられた後、火を放たれて焼死体として発見された。警察は被害者の男性関係を中心に捜査を進めるが、容疑者を特定することができないまま、捜査班は解散となってしまう。
解決の糸口が掴めそうで掴めない。捜査官の仕事を淡々と映す描写が多く、殺人事件解決に向けて奔走する場面だけを切り取った作品とは違い、新たな視点で楽しめる面白さがある。彼らもまた人間で、プライベートでの悩みを抱えながら仕事に取り組んでいる。捜査は一進一退を繰り返し何か突破口が見つかりそう!かと思ったら振り出しに戻ってしまう。全体としてそううまくはいかない現実をありのままに切り取ったクライム物という印象。
「クララが殺された理由?それは女の子だからだよ」というセリフが頭に残る。主語を大きくした、安易な「男性批判」はあんまり好きでないが、警察署内も容疑者も全部男である。
捜査官の唯一の気晴らしは自転車で、気分転換に同じトラックをひたすら回り続ける。ラストで山を走るシーンが好きです。