鹿伏

ウィッシュの鹿伏のレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
3.7

「思ったより低音ボイス」

100thアニバーサリー!
いまディズニーがやりたい方向性をぜんぶ詰め込んで過去作オマージュを散りばめて全体的にギュッと圧縮した感じ。わざわざ地中海って場所を明示して、オープニングがいかにもイベリア半島の南側!という感じだったから、もっと民族系や出自の話を持ってくるかと思ったら(たぶん母親は北アフリカ系っぽいし祖父はヨーロッパ系っぽい)あんまりそこらには触れずにとにかく“願い”推し。独裁的な家父長制の権化を、未来ある子どもたちと女性、力を持たざる者たちで打ち倒す!で、吹き替えて観たんだけど明確に“革命”という言葉を使っていて驚く。いまのディズニー、あきらかに体制側だからさ…

みんなの一部とも言える願いが囚われていて、あの優秀な王様は実は悪なのだ!の主張、完全に“目覚めた人”っぽく見えて陰謀論ぽいな〜など思ってた。あと、王妃からの願いは見るなの忠告をやぶって親族の願いを見て、そこから弟子になるかもしれない身分で親族の願いをどうか叶えてくださいの流れ、気持ちはめっっっちゃわかるしずっと待ってた祖父の願いを叶えたいという思いは尊いけれど完全に体制側との癒着の始まりだ…など思い、私の心はなんて薄汚れてしまったんだと落ち込む。まあ結果がよければ良しということで…

(叶わないかもしれないけれど)願いを叶えようとする心持ち、生き方など『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』も類似のテーマであったのでいまのトレンドなのかもしれない。音楽やら船長になりたいに比べて、空を飛びたいはどう考えても人地の力を超えてるから努力云々ではどうにもならないだろ!と思ってたらちゃんと終わりの方で回収された。そうだよね。友人たちが7人なのは白雪姫の小人モチーフなんだな〜とか完璧な乳母は空から降ってくるよな〜などファンであるほど隠されたイースターエッグで楽しめるんだろうな
鹿伏

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