鹿伏

哀れなるものたちの鹿伏のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3

「熱烈ジャンプ!」

体は大人、頭脳は子ども!
ウィレム・デフォー演じる父たる“ゴッド”の手によって作られた無垢なる存在が性の快楽から知識と哲学を学んで、理想論的なヒューマニズムの暴走から性の商品化を経て“ゴッド”の死を見届ける。西洋哲学やらキリスト教を背景にしながら進歩主義的な思想をひとりの女性を通して、最終的にはフランスで実存主義へ至るところも今っぽいな〜!!だった。

イギリス、ゴドウィンといえば「フランケンシュタイン」のメアリー・シェリーの父でアナキズムの先駆者でもあるウィリアム・ゴドウィンで、そういやメアリー・シェリーも超超超箱入り娘で、パーシー・シェリーと駆け落ちしたんだよな。なぞらえてるんだろうな。そんでロンドン、リスボン、アレクサンドリア、パリ……イギリス生まれのいいとこの子がヨーロッパをまわるといえばグランドツアーだ。最初は家庭教師役だったマーク・ラファロのすけべな雰囲気もとてもよかったし、ダンスシーンの「俺の目の届く範囲で踊れよ」な感じもウワなんだこいつ腹立つな〜!!!もハマってた

全体的に画が美しかった。スチームパンクな19世紀サイコ〜!ウェス・アンダーソンを彷彿とさせる作り物っぽいけどものすごく丹精な背景、あんまりヨルゴスっぽくなかったけどこの寓話的な物語にはものすごくフィットしてる。娼婦館のシーン、なかでも「あなたは子どものときの思い出を話して、私はジョークを言うから」のところ「買う/買われる」はずの構図が「幼児/保護者」に逆転されていてよかった
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