スカポンタンバイク

ウィッシュのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
1.5
いやぁ、キツイ。
「マイエレメント」が100周年作品で良かったのでは?って感じ。
とにかく言いたい事は2つ。
1つは「願いを持つのは大事。他力本願は良くない」ってメッセージは、単にメッセージであって物語ではないって事。この映画はそのメッセージしかなくて、それを語るための物語がまるでない。誰が何をしたくて、何をすべきなのか、願いを叶えるとはどういう事なのか、願いを叶える事の良い事悪い事は何なのか、といったメッセージに厚みを持たせるために絶対必要な要素がまるでない。端的に言ってつまらないという事だ。
もう1つは「自分たちのメッセージを正当化するために、必要以上に悪役に悪意を着せるのは不快」という事。マグニフィコ王って全然悪い人じゃないじゃん。他力本願な国民がひたすらに他力本願で感謝もしてくれない事に不満を持つってそんなに悪い事かね?国や自分のためとはいえ、安寧のために叶える願いを選ぶってそんなに悪い事かね?
「若者の前でギターを弾き語りたい」って願いが国に脅威をもたらすとは思えないけど、あれは「そういう優しい願いを棚上げにする悪い王」って外面を仕立て上げるためにそうしてるんでしょ?そういう汚れた不快な王を倒すって事にすれば、主人公たちの王様打倒の正当性は通しやすいもんね。そういう、ためにするためだけの勧善懲悪の構成っていうのが透けて見えて、心底不快だった。
悪役がどんな痛い目にあわせてもいいサンドバッグだと思ってるのなら大きな間違いだ。キャラクターに対して大変失礼だし、テーマに対しても大変不誠実で、心底がっかりです。