タカ

フェイブルマンズのタカのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.8
「出来事には意味がある」

"映画を撮る話"じゃなくて"好きを続けるかの話"
分かりやすくドラマティックで
分かりやすく感動する
そんな映画では決してない
好きなもの・心を満たすものを追っていく葛藤
とっくに答えは見出してるのに
天秤にかけられないこそ悩み苦しむ
「心のままに生きてね」
痛みを伴うと分かっていても
そこに腹を括れるのか
血を流せるのか
そんな犠牲を描く映画

フェイブルマン"ズ"
思っていたのと違う味だなと感じたけど
よくよく考えるとまるっきりタイトル通りの作品だと思う
そこが主役でそこのドラマ
ボタンの掛け違いのようなそんなズレが現実的
そんな中で映画全体の語り部ポジションで登場するボリスおじさん
ここのお話がわりと全てなんじゃないかな
家族×映画、そのクロス
映画だけじゃなくて芸術に広げた話
そのけっこう後で「芸術家vs科学者」というセリフもあったし
ボリスおじさんのくだりが主題メッセージだと思う

すべての契機が映画
映画の話じゃないなと思ってしまうけど、ドラマのきっかけになっているのが映画
家族を巻き込んで撮って一つになる
とあることに気づいて歯車が狂う
気まずい人物からカメラを贈られる
落ち込んだ時に自分が撮った映画に対する観客の反応で顔を上げる
ストーリーが動くのはいつも映画ありき

あんまりピンとこなかったのは
自分が"好き"を突き詰めたこと
いや、突き詰めようと思ったことすらなかったからかもしれない
何かに人生を全ベットする
そんな"好き"がない
もちろん映画は好きだし、他に好きなものもある
だけどそれはこの作品で言うところの"趣味"の範疇
どうしてもそんなことを考えてしまう

スピルバーグ作品を観て
そこから染み出す痛みを感じられたら
バックボーンを思い出し
この作品に対する自分の評価は変わるかもしれない
だからとりあえず今はこのスコアで
タカ

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