グラビティボルト

マジック・マイク ラストダンスのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

3.6
「ラスト」と銘打つには、若干の熱量が低く、戸惑ったものの、そこを食い破るチャニング・テイタムの肉体の躍動や、彼と度々交わされるサルマ・ハエックとの目線の切り返しの艷やかさだけで良しとしたい。
作家もこの二人の強度に賭けてるのが伝わってくる。
ダンスよりも、随所の男女の切り返しにパワーがあった。

冒頭、バーテンをしていたテイタムがサルマ・ハエックにストリップを要求される場面も地味に切り返しが冴えている。
若干煽り気味に切り取られる両者だが奥がガラス張りになっているのが巧み。ピンの合わない向こう側で揺れる木々が両者の内面を表す。
サルマ・ハエックの方が諸々のトラブルで荒れているように見えるんだけど、テイタム側の方が、背景の木々が激しく揺れてるんだよね。
ラストダンスで回想される二人を煽り気味に捉えた視線の切り返しも滅茶苦茶艷やかで、テイタムの目線の色っぽさも含めて忘れ難い。

ラストショットは、1作目から一貫して「粋」だと感じた。
言語で語られる「ダンスの輪」に愛する人と溶け込む事でスーパーストリッパーとして場の中心にいたマイクの映画は終わりを迎える。
彼がギラギラしていないごく普通の生活を手にしたタイミングでこの画は見事