グラビティボルト

インフィニティ・プールのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
2.2
この手の映画作家、ルイス・ブニュエル好き過ぎて凡庸になる問題が発生している映画だった。

ブランドン・クローネンバーグ映画初鑑賞だけど、ゾッとするほど面白く無かった。
荒木飛呂彦なら30Pぐらいで処理する「奇妙な話」をグダグダ撮って、ブニュエル風味の乱痴気騒ぎをまぶすという、観ていられない代物。
アリ・アスター的なナルシズムの塊だ。

「ボーはおそれている」もそうだけど、劇場映画3作目にして「自分の話」をしてしまう映画作家ってどうなの・・・?
手札の少なさしか感じない。
あと、この手の自意識映画ってこういう不満というか、酷評も織り込み済みで撮っている辺りが姑息過ぎる。
よりによって、小説家の主人公のパーソナリティに自分を重ねていて、自分に対する批評らしき言葉を主人公の小説への酷評に絡めてるっぽいのもゲッソリする。
そんな事よりまずはドッペルゲンガーが登場するSFホラーを真っ当に撮って欲しい。
自己表現の為に映画を利用し過ぎている。
簡潔なアクションが撮れる父・クローネンバーグとはここが大きな差だ。
1ショットも良いと思える瞬間が無かった。