鎌谷ミキ

ippoの鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

ippo(2022年製作の映画)
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【戯曲と映画のいい関係】

*本作は加藤一浩さんの戯曲3本の短編映画化。後半は柄本佑監督イベントレポです*

[あらすじのみ]
「ムーンライト下落合」
長年住んでるアパート。終始午前2時の暗がりの世界。柿ピーとウインナーぐらいしかハッキリとした色がない。
友人なのに久々なので気まずく、ぎこちない会話がなされる。男同士あるあるらしい。
加瀬亮と宇野祥平が静かに、そこにいるように演じる。月がキレイ。

「約束」
とある団地の公園。柄本時生と渋川清彦が兄弟。お金に困ってるらしい。弟は転々と職を変えている。何故か弟の分身のような男がベンチに座っている…そして、空を見上げる二人。

「フランスにいる」
フランスのアトリエにいるらしき高良健吾さんと加藤一浩さん。高良さんは自分の声が入ったカセットを再生している。加藤さんは、高良さんを描こうとしているが、筆が進まない…自分の声が入ったカセットは、何を意味しているのか。

戯曲は初めて体感するので、ノースコアとさせてもらいます…

☆*………………………………………………………☆*

[トークレポ]
柄本佑監督の舞台挨拶、さらにはサイン会付きの回を鑑賞しました。サイン会はサプライズ!めちゃくちゃ乙女になってました💚ドキがムネムネする…松本享恭くんの時は少し離れていたのですが、柄本監督はなんと小さな丸テーブルがあるだけ。「お名前はなんといいますか?」「◯◯さんでいいですか?」マスクしてるけど、近い近い😳「微力ながら作品を映画館で観て応援したいと思います」それしか言えねぇ🙃監督より俳優さんはオーラが違うので、めちゃくちゃ緊張しました(⁠●⁠_⁠_⁠●⁠)

後はツイッターのコピペですが、どうぞ。

・「フランスにいる」まさかのiPhone撮影。撮影の四宮秀俊さんが撮られた手ブレ補正された映像。これは今風だと感じました。あえてなのか、真意は聞けませんでしたが。
・基本的には固定カメラで「約束」だけレール撮影がありました。「ムーンライト下落合」は、わざとダークな色彩で月を引き立たせたり。
・質問者がフィックスとかの話になってたんだけど、撮影のこだわりで「約束」のラストはカメラが役者を引いて前に歩いてる映像を撮りたいがために一回俳優を振り返えらせてカット割りをさせたというのもありました。ただなんとなくでしか短編を観ていなかったら、こんな所まで気づきません…
・音楽の入れ方も独特で。選曲の理由という質問の応答。
「ムーンライト下落合」はメキシコ料理屋でかかっていた曲を。ちょうど月の光の歌だったので、ピッタリかと。「約束」は親父(柄本明さん)とドライブでたまたま流れた曲。「フランスにいる」はソーラン節にしようと思ったけれど、流石に日本になるので違う曲にしました…
・短編を撮るというより、長編への一歩みたいな作品だと言われていました。加藤一浩さんの脚本に柄本監督が脚色したのが『ippo』ということで。「約束」は、ラストが違います。あえて続きを書き加えて"兄"の立場をよくしたそうです。
・『ippo』なんてことない日常を描いた作品ではあるんだけれど、そんな日常も愛おしい感じにさせてくれるような。舞台挨拶でカット割など編集の裏側のお話を聞くと、たかが30分と私たちが思ってしまう時間がされど30分、手間を惜しまずに作品に注ぎ込んだ柄本監督は素晴らしいと思いました。

[パンフ]柄本佑監督サイン入り(私の名前付)
800円。22p
短編紹介、柄本佑✕加藤一浩対談あり、映画化されなかった戯曲掲載、読み応えあり。
鎌谷ミキ

鎌谷ミキ