じぇいらふ

こんにちは、母さんのじぇいらふのレビュー・感想・評価

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)
4.4
山田洋次監督92歳。90作目の作品だと。90代映画監督というと、ゴダールか?イーストウッドか?山田洋次か?と思ってたら、ゴダールが死んだ。いつ遺作になるかわからない😆ので、なるべく新作を見ようと思うのだが、、、とても良かった。吉永小百合、母三部作最後の作品にして、ある意味、新境地。凄いことだ。

🎞️都心。高層ビル。あるオフィス。人事部長の元に、同僚の友人がやってきて同窓会の話をはじめる~はじまり

📖大手自動車会社の人事部長、神崎昭夫:大泉洋は、別居中の妻娘がいて、同僚のリストラ話もあって、色々悩み中。そんな時、実家にいる母、福江:吉永小百合の様子が変である。どうやらボランティア活動で知り合った牧師に恋をしているらしい。。。というおはなし

前作『シネマの神様』が結構突っ込みどころありありだっただけに、今回はよかった。最近の山田作品らしい、設定は現代だけど、セリフ回しや、演技の仕方、演出がとても昭和テイストなのも今回はよくはまってる。なんだかオフィスの部屋に至るまでの、空の画面カットの重ね方とか、飲み屋のアングル、自宅での登場人物の見せ方等々、、、、なんだか益々小津安二郎にみたくなってきた。たいして大きな事件が起きずに、淡々と登場人物のセリフのやりとりだけで不思議と観ていられる感じも小津っぽい。隅田川と東京スカイツリー。押上?辺りの雰囲気いいです。

キャストがいいすね。主役の大泉洋が凄く良い。同世代なので色々わかる。同僚との関係性、会社での立ち位置。実家にいるときの服装のラフさとか、案外とてもリアル。ラジカセとか。大泉洋のコミカルさ、オーバーな感じとか山田洋次世界にとても合いますな。新しい山田作品の主役として、しばらく作れそうだ。スーランタン麺の件いいです🍜笑

もう一人の主役、母、吉永小百合。最近の作品のなかで一番いい。いつも年齢不相応な若作りな役が多いのだが、今回は年相応に見える。山田作品での彼女は、理想的過ぎる母親像がちょっと時代に合わない感じもあったのだが、今作は恋もする現代の自由な老婦人のあり方になっていて、こちらも結構リアル。つか失恋して酒飲んでぐだつく吉永小百合とか初めて見た気がするぞ。新境地✨

母の恋人?の牧師寺尾聰、ストイックなホームレスで今にも踊り出しそうな田中泯。良い感じの年齢感になった加藤ローサ、YOUとかいつもの山田組の面々もそれぞれキャラクターが立っていて、いい群象劇になっている。娘、舞:永野芽郁の衣装がちょっとややおばさんっぽい😆?下町風?なのは演出?一番大学生らしくない大学生。かわいいけど、痩せ過ぎかも。ちょい心配。同僚のクドカンのがっつり演技も新鮮だ。

母と死んだ父の馴れ初めの話の辺りの、足にまつわる話がいいすね。この直接的でない色気感。このシーンのための足袋屋設定なのか⁉️と。

見せない妻、見せない祖父、隠れた見せないところでのセリフ等々、見せない演出がいいです。ここら辺も含めて新しい山田洋次て感じ。

山田作品はしばらく年相応に、老人の感情とか描きつつ、昭和、下町ファンタジー感をちりばめた、現代の小津作品として、まだまだ作品を作ってくれそうだ。超人すな。