【闇と光】
朝鮮王朝時代に実際に起きた“怪死事件“をベースにしたサスペンススリラー。ジャケ写がホラーっぽいけどそんな作品じゃないのでご安心を。
史実としての
「起と結」
そこに、たった1人の「盲目の鍼医」を創作しただけでここまで惹きつける物語になるなんて。先に結論から申し上げます。これは
“面白い"
監督:アン・テジン
脚本:アン・テジン、ヒョン・ギュリ
あらすじ
盲目の鍼医ギョンスは、持病を持つ弟の治療費を稼ぐために宮廷で働くことに。そこに「国王・仁祖」の長男で清国に抑留されていた「昭顕(世子)」が帰郷する。ところがある夜、その昭顕が暗殺される様をギョンスは‟目撃“してしまうー
◾️起◾️
『朝鮮に戻った世子は、ほどなくして病に罹りその数日後に死去した。鼻や口など“7つの穴"から鮮血が流れ、さながら薬物中毒死のようであった』
1645年「仁祖実録」より
◾️意訳◾️
『清国にボッコボコにされてごめんなさいして和議の証に息子やらを人質に取られてたのがやっと帰ってきたのにすぐ怪死した』
が、そんな史実なんて知らなくても大丈夫。血が出まくって死んだ、それだけ分かればいい。次だ次!
<聞き慣れない用語群>
「仁祖(インジョ)」
朝鮮王朝の王様。身体よわよわだぞ!
「世子(セジャ)」
王の世嗣ぎ。王子みてーなもんだ。今作でいうなら昭顕(ソヒョン)。あーだこーだで人質の必要がなくなって戻ってこれたぞ!
「内命婦(ネミョンブ)」
側室。偉さの順位を表す“品階“もある。日本でいうなら大奥だぞ!
「内医院(ネイウォン)」
朝鮮王朝時代に王族や宮中の医療に関わった機関。偉い人たちの健康管理を担当したぞ!
「御医(オウィ)」
内医院の中でも王など特に偉い人の医療行為を担当する医者。資格試験が難しそうだぞ!
が、そんな呼称なんて何も知らなくても問題ない。一応だ!一応!
決定づけられた歴史(史実)
当時から語られた噂話(諸説)
盲目の男が目撃したという創作
「史実×諸説×創作」
その後は、どうなるの!?どうするの!?を流されるまま身を委ねて楽しもう。史実も諸説も創作も面白ければ関係ない。
「史実とは歴史」
史実になり得なかった歴史の“狭間"を人々は語ってきた。諸説、一説、虚説、流言。
「歴史とは物語」
史実と歴史の“空白"を人々は思い思いに語り続けてきた。噂話しかり。創作しかり。
いつの世も「物語」は
人々を惹き付ける