Punisher田中

M3GAN/ミーガンのPunisher田中のレビュー・感想・評価

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
3.7
人気玩具メーカーで働く研究者のジェマの元に両親を事故で失ってしまったケイディを引き取ることに。
そんなジェマはあるおもちゃの研究を秘密裏に行っており、ケイディを元気付けるために研究中のおもちゃの試作品をテストも兼ねてケイディへ贈るのだった。

やはりホラーは時代と共に進化することを思い知った...技術が進歩する度にとんでもないホラーが出てくるんじゃねぇか...!と期待を孕む様になり、いつしかこんなものまで...
時代性抜群、それでいてキュート!
他者への想い(プログラム)が狂気に変わる最先端ホラーだった。
今作を観て感じたのはデジタルだからといって「プログラムはいつでも修正出来るんだから多少出来てれば良いや」という精神はクソ喰らえということ。
だんだんとプログラマーやエンジニアの仕事ではミスが許されないものになってきている実感が今作に投影されていた。
「お前、映画やぞ!どこ観とんねん!」という気持ちは凄くわかる、なんなら今文章を綴っている俺が1番よくわかっている。
しかし、今日までAi技術が進歩しこれからの時代でAiが日常に欠かせない存在として進化してしまうと、開発元がミスをした者が世に出た際にこんなことが起こりかねないわけだ。
同じくAiの所在を描いたアフター・ヤンでは無機質なはずのその存在からは温かみや愛おしさを感じたが、今作のミーガンからは狂気と慈しみ、小さな器に収まらないクソデカい怒りの感情を感じられた。
電子制御といえどベースの制御を行うのは人間、こういったことをネチネチ考えてしまうとなかなか怖い作品。
(実際は全然考えさせられる要素はないです!)

ここでようやく本作自体の話に戻るのだが、Aiならではの停止方法...ではなく結局物理的な方法を取るのが良い。
敵は近代化しているのにこちらはアナログ。でもそこにロマンがある。
伏線の貼り方も反撃への出方も捻りがあって演出の随所にはジェームズ・ワンの残滓を感じる、そして全体のテンポ感や情報の引き出しはビックリなくらいスムーズでわかりやすい、今作は流れが綺麗すぎるのが少しネックだったかもしれない。
あまりに予定調和過ぎたというか、全てが大体読めてしまうのが勿体無い。
もっと暴れてよかったし、もっとキモくて良かったが、今作でミーガンの姿形がしっかり定着したと思うので次回作が楽しみだ。