回想シーンでご飯3杯いける

パラヴィの見つけた幸せの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

パラヴィの見つけた幸せ(2022年製作の映画)
4.0
amazonプライム無料体験期間という事で、amazonオリジナル映画を中心に鑑賞を開始。最初に観たのはインド製作の「パラヴィの見つけた幸せ」。他のインド映画の例に漏れず、これも字幕が追い付いていなかったみたいで、この度ようやく字幕付きで鑑賞できるようになったらしい。

そして、これがインドにおける同性愛に対する偏見を題材にした、非常に良く出来た作品なのである。息子の婚約相手がアメリカで事業を成功させた金持ちの家庭であった事から、家族に対する詮索が入る。その過程で、母親が同性愛者であるかもしれないという話が浮上し、婚約話に待ったがかかる、、、というストーリー。

子供の結婚をきっかけに差別問題が浮上するプロットは、先日レビューした「ユー・ピープル」やフランスの「最高の花婿」と共通する。それら作品と共通するコメディ要素もあるが、本作はインドの封建的な風土を背景に、シリアスな要素が前面に出ている。端的に言えば、母親の味方は、ほぼ存在しない。いや、一見理解を示しているような人物さえ、理解の方向が間違っているという辛辣な描写が続く。

そんなシリアスなストーリーでありながら、2時間を超える作品に集中できたのは、主演のベテラン俳優マードゥリー・ディークシトの魅力による部分が大きい。その美しさもさる事ながら、四面楚歌の状態でも凛として立ち向かう姿が感動を呼ぶ。ダンスシーンは華やかなだけでなく、幾分大人っぽい落ち着いた美しさが印象に残る。

Netflixに比べてオリジナル作品があまり評価されていないように感じるamazonプライムであるが、もっと広く注目されて欲しい作品だ。