めしいらず

イヴの総てのめしいらずのレビュー・感想・評価

イヴの総て(1950年製作の映画)
4.0
下世話な業界ゴシップを語り聞かせるような調子が観る者の中の悪しき詮索心をくすぐって止まぬ名作。野心と才能をよすがに、目的の為に価値があるコネをあらゆる手練手管を使って手に入れ、利用し、のし上がっていく一人の女。彼女が見せる忠誠心は相手に利用価値がある間だけだ。男どもは彼女の掌の上、女どもすら最初はコロリと騙された。彼女の為に相手が踏んだ正当でないやり口すら種にして強請るような腹黒さだ。そして彼女は望んだものを手に入れる。授賞式の夜、恩人一人一人への感謝を彼女はさも心込もった調子でスピーチする。表面だけ取り繕って祝辞と謝辞を言う合う両者の間のうすら寒い空気。見えているものと実態の姿は概ね重ならない。きっと私たちが普段見ている光景の裏も大差ないのだろうと思わせる説得力。そしてラストシーン。歴史が繰り返される必然。ああ厭だ。しかし何と面白いことか。
再鑑賞。
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