矢吹

生きててごめんなさいの矢吹のレビュー・感想・評価

生きててごめんなさい(2023年製作の映画)
3.9
なんか偉そうな、何もしてないのに、してないが故に、俺には何かできる気がしてる、自己評価だけは高い、腹の立つ男がめっちゃ痛い目に遭う勧善懲悪モノです。
こいつは、その女の子に憧れていました。
その上で、自分が世話をすることによって自分が依存していました。
挙句、他の場所では何もできないと攻撃までしてしまう始末。
これに関しては普段から言うことはなかったようで、さらに言うと、それがきっかけで彼女は外に出られたわけだから、結果的に、本当に彼女が強い人でよかったですけど。
自分をたよってくれる人間が離れていく怖さと、どこかで気づいていた、自分の何者でも無さ。

生きててごめんなさい。はイキゴメとして、現われて、そのイキゴメの存在を、観客と彼女だけは知ってたと言う事実が、彼にとってのあの、彼女の居酒屋での活劇や、白状した憧れに憑いて回る漠然としない影になっていて、そんな、生きててごめんなさい。と言うワードによって、自分の領域をついに、明らかに踏み躙られていくという約束された終わりの始まりの到来に繋がっていくわけだ。臨場感ありました。イキゴメバトンリレーというかね。

そして、
このスカタン野郎に、
お前は他人に迷惑をかけただけ。っていう鮮やかなカウンターがクリーンヒットしたところまでの攻防は、ハイライト行き確定の気持ちいいシーンでした。が、まあでも、頑張って小説を書いたことは偉いぞ。それだけは言えるぞ。
間に合ってねえけど、
よくやった。結果、露呈した、普段のお仕事から何から何までの力不足により、
夢の出版業界から完全に隔離されてしまったことは、実はきっと、もう夢を追わなくて良くなった君を、安心させてもいるはずなのだ。

夢もない、何もしていない人間は、ゴミ人間ですか?という問答があった矢先に、
生きててごめなさいと言う思想だけはしっかり守っていたが故にその問いに応えられた彼女と、
胸を張って、追いかけて、夢を失ったが故に
夢もない、何もしていない人間になってしまった人間は、ゴミ人間になったと言われていいものなのか。と言う問答が生まれた。
生きててごめんなさい。
それでもちゃっかり違う場所で、また、気になる人ができている。
彼の生活はガラリと変わって、トークショーにも間に合った。
これがまた一つの、人生あるある。
あの子が君に来て欲しいのなら、別に、究極、いいけど、
君は渡るべきではないと、君もやっぱり思ってたよね。
まあでも、その向こうだってきっと、大したもんじゃねえよ!

くだらないモノで何がいけねえんだよ。
楽しいとか嬉しいとか、それでいいじゃねえか。って叫び声バチっとハマりました。
まじでいいんだよ。
ごめんなさい。
そんな、
彼女もあいつも書いてない本。
文字がでっかい、あんな本。
それらについて、それでも僕自身は、いつか見返してやりたいとは思ってる。
本当に申し訳なくも思ってる。
でもなにも辞めるとは言ってない。
生きててごめんなさい。と思えるなんて、
謙虚でいいだろうとすら思ってる。
ごめんなさい。

正直に言うと、オープニングのシーンに痺れて、俺もあの子のことを好きになってたから、男に対しては常に、嫉妬と敵対意識もあったでしょう。

ずっと画面の大きさが最高でしたね。
なんか全てが絶妙に足りない感じ。
色味に関しても、おでかけの部分の、明るくても、不安になるし、雲行きが怪しくても、不安になる、心許なさはとっても見応えありました。

2人でおんぶで上がった坂道。
街を見下ろす彼女は綺麗だった。
家の鍵はもう、拾って渡さなくてもいいんだね。

あの子に対する、ペットショップ店員の、苛立ちが、会話の、前後の視線と身振り手振りに出てて、言動の全てに「なんかムカつく」と言う感情がちゃんと載ってて、流石だった。

なんか、全てを見た上で、この話は、
はじめの一歩のさ、
ここから先は人の形をして入ってくるな。のやつだな、とも思った。
それぐらい、人の形というものを、くっきりと描いていた映画だと思った。好き。

ということで、
冨手麻妙さん!!飲みに行きましょう!
俺は落ち着きましたよ!
矢吹

矢吹