矢吹

カノンの矢吹のレビュー・感想・評価

カノン(1998年製作の映画)
3.8
死は出口ではない。
めちゃ親切な映画。
そして、出口に向かうことを薦める警告。
フランスのやばいおじさんの話ですけど、
どこの街も変わらんわな。
パリだって当たり前。
綺麗なだけなわけないから。
住めば都。生まれればどん底。
これは、人類みんなのくじ引きってことか。

この出口に関して警告してくれるのは、割と心ある、まだピュアなノエでもあるのかな。
人を暗闇に閉じ込めて、もっとこの世のどうしようもない生々しさを投げっぱなしにしてくるイメージなので。
それで言うと、これが劇場で公開された時のリアルタイムの空気が、最も彼のイタズラなんでしょうけど。
ノエ。当時、35歳?の1998年。
ってことはまだ、60歳なんだ。
もっと年齢いってると思ってた、まだまだだね。そして、現在のボルテックスに迷い込むわけですから、ということは、この段階からの、まだまだこの先の物語が非常に楽しみでもある。

ていうか、これ、カルネの続編なのね。
カルネ見てなかったのよ。
まあ、そう言う問題じゃないくらい、わけわからん瞬間もあるから、そう言う問題じゃないんだよな。

なかなかに史上最低な主人公たる、やばおじさんの、独り言がただ面白い。
地獄の底まで行ってトンネルを掘ってやるぜ。
みたいなね。

あんだけ、世の中に文句垂れつづけるくせに、それだけで、できなかったか、なにも。
このやばいおじさんは、本当には。
潜在的なこういう人たちが、現実にも、結局あんま何もしないから、世の中は無事お陰様で回ってるわけでもあるんだけど。
昔、娘のための暴力で捕まったのも、もちろん、やばいことには違いないが、それとこれとは訳が違うし。
まんまと、地球にうじゃうじゃ存在する、その辺にいるおじさんを描く上で、これで完璧。
そして、そこをちゃんと思いとどまるラインと思い止まれないラインの、なんたる自分本位のカス人間か。この男はさ。
娘や女には平気で手を出す癖しやがって、
このおじさん以外の、そんな皆に幸あれよ。

とはいえ、
自分で心の独白を言う時には、いっつもこのカノンが鳴り響いて、シンクロしてくるので、最近はまんまと、ほとんど俺の英霊となり、守護霊と化している。
お前の無意味に垂れ流してる臭え文句の糞カスをお前の家の湯船にパンパンに詰めて、息絶えるか、心から反省するまで顔面ディップしまくってやるぜ。って感じに。
ぶっ殺したあいつの骨で公衆便所作って、ションベンこぼしまくってやるぜ。的な。
ジジイと毎日殴り合いですけど。

死は出口ではない。からさ、
思い遣って生きていきましょう。
寛容になりましょう。
矢吹

矢吹