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忌怪島/きかいじまのSSDDのレビュー・感想・評価

忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)
3.3
◼︎概要
美しい離島を全てスキャンしデータ化することでリアリティのある世界観を産み出すというVRのプロジェクトを行うシンセカイのメンバー。脳科学を専攻する青年が加わりに島を訪れるがチームリーダーは不審死をしており、時を同じくして別の場所で全く同じ不審死をしている男性がいた…。

◼︎感想(ネタバレなし)
毎週何かしら開発がリリースしたもののバグに悩まされている私には、バグという言葉に過敏。顧客に毎週謝って…謝罪王に俺はなる。
"これは不具合ではありません、仕様です。"ってぶちのめされたいのかい?開発面々よ…。

そんなことはいいんですが…。
やたらと少ない規模で恐ろしい精度のVRを作り出す連中が島を丸ごとトレースしてみたら、バグと思われる謎の奇妙な金属音と共に現れる女に襲われるというホラー。

VR上で香りを再現する際の脳科学的な根拠の話など序盤の展開はなかなか見どころを感じるものの、どの人物にも感情移入ができないほどキャラクターに魅力がないのが致命的。

怪異が起こるたびに起こる現象が、懐かしのJホラーを想起させたり、どことなしに黒沢清監督の描く幽霊感を感じたりと王道的なホラー演出だが、まったく恐怖は感じなかった。

美しい島の景色は素晴らしいし、デジタルとオカルト、島唄をホラーに組み込むなどなかなか先進的な試みは楽しめました。
悪くはないが、もうひと声魅力的な要素がないと厳しかったです。











◼︎感想(ネタバレあり)
・'回路"的であり、"仄暗い水の底から"的
怪異が起こると必ず海水が現れるあたりが"仄暗い水の底から"を想起させられ、ノスタルジー。
赤い鳥居(回路だとドアに赤いテープ)、赤い服、物理が効くと黒澤清節な幽霊だが、演出は真っ直ぐ過ぎて恐怖がない。
風呂場で肩に手、顔に手とかベタ過ぎて懐かしさを感じた。

・ルール無用
トレースしてデジタル化をしたら、呪いがデジタル側で発動し、現実世界と赤い鳥居を通して行き来できる媒介になるなどアイディアは楽しめた。
データを抜け出し、観測したところからも移動できるとかは純粋に面白い。

だがアバターの存在が分かりづらく、VRにいる人間はアバターに置き換わってるという説明が下手。
その上アバターは破壊されても問題ないんかとか、お前ら結構肺活量多くて酸欠にならんなとか色々ルール無用。

終盤はもはや意味不明で鳥居倒しても現れるわ、じいが破壊したコンピュータなしでもVRできるわでよくわからん。

・ラストシーン
続編やりたいからとか最後は考察しがいがあるようにみたいな、デジタルから出ていないような表現をしておき、最後に三線を女の子が轢いて終わるとかもう無茶苦茶。
島の映像が綺麗でした、うん。

観てないけど貞子の続編の後期とかこんな感じなんかな、Jホラーは雑な方向いってるなと少し悲しみを感じました。
個人的には黒沢清監督の過去作みたいな不穏で座りの悪い、生理的嫌悪感で攻めてくるJホラーが台頭して欲しいものです。
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