Cisaraghi

バック・ビートのCisaraghiのレビュー・感想・評価

バック・ビート(1993年製作の映画)
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ビートルズの伝記本の内容をなぞるようなストーリー。キャラクターも本人たちに忠実に描かれているように思う。スチュの拙いベースが気に入らないポール、『Get Back 』でジョージにダメ出しするポールと同じで可笑しかった。この頃から、ジョンはアーティスト、ポールはあくまでも音楽家、音楽に関しては妥協出来ないのだ。

音楽的にはマイナスとわかりつつ、スチュをバンドに留めておきたかったジョン、それくらいジョンにとっては大きな存在だったスチュアート。成功の陰で、その後スチュに対してどのような思いをずっと抱えていたのだろうか?とてもプロとは言えない腕前のスチュを仲間に引き入れ、ポールの反対にもかかわらずビートルズから外せなかったジョンの心理は、その後ヨーコを自分のパートナーとして選んで一緒に音楽を作った、ファンからするとあまり有り難くない心理に通じているように思える。オノヨーコ、アーティストとしては見るべきものを持っているのだろうけど、音楽家としては、歌というか、声が無理で…。

映画に登場するスチュアート・サトクリフの抽象絵画作品が大変よかった。本当に才能ある人だったようだ。アストリッドはビートルズのハンブルグ時代のミューズだったことが一目瞭然でわかるオーラを発散していたが、蠱惑的な微笑で性的魅力を強調し過ぎの感も。

ストリッパーのお姉さんたちの裸体、アストリッドの裸体が美しく撮られていて、そちらもなかなかにアート。全体的にアートフレンドリーな映画だという印象。しかし、ハンブルグ時代のビートルズは、かなりいかがわしい場所で演奏していたのだな。

劇中ジョンが「ロングトールサリー」を歌っているが、ポールは、ジョンは生涯をこの歌ったことはないのに、と歴史をねじ曲げられて些かお怒りのようである。そりゃ当然だ。
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