ゴジラは「災厄」なので、都合よく被害者や被災地を分けはしない。
その絶望感を、登場した冒頭から見せつけるすさまじさ。特に、熱線の破壊力には目を瞠るものがある。その後のキノコ雲の絶望感！
空襲を受け、原爆を落とされたのに、さらに災厄が訪れるとは。
敗戦後すぐに時代設定をした、監督らスタッフの勝利だ。
ゴジラというものは、ギャレス・エドワーズ監督版でも「神格化」されがちで、地球の守護神と化してしまうきらいがあったが、この山崎監督版では、ひたすら「恐怖」であり「絶望」となる。
その潔さがゴジラである。
庵野監督版や、まして昭和のゴジラシリーズとは比較しなくていい。といっても、今作は元祖『ゴジラ』本多猪四郎監督の初作にオマージュを捧げるものでもある。
それぞれの監督の考えかたや、趣味性（今回は戦闘機や軍艦など）を出せる、もはやシンボルとなった「ゴジラ」。あらためて認識できた。
