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怪物のRYOBEERのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

複数の視点で明かされていく真相は、その気持ち良さはありつつも投げっぱなしにも思えるエンド。
ラストカットが現実かどうかもはっきりせず…
これをいつか観た人みんなが「生きてる」って思えるような世界になればいいよねぇ、くらいに受け取りました。

坂元裕二の書く台詞回しが生理的に合わない程苦手なんですが、今回は殆ど気にならなかった。

"寛容的"とかよく言うけど、それって"知った"結果の話で。
まず無知なことに無自覚では、いくら優しくありたいと思ったとしても誰かを傷付けてしまう。
話さずに全てを分かり且つ正解の対応を取れるなんて、そんなの神の視点が無ければ不可能な訳で。
いやいや、ささやかな問いかけ風に見せかけて随分大層なこと提示してきてないこの作品?となった。

「誰か」を責めるようなテーマでないことは明らかだけれど。

その無知で無自覚な事に最も割を食ったであろう先生が不憫で仕方ない。

ありゃぁ気付けとか言うには無理がある。

自分なら最終的にあんな所まで人生追い込まれた後で、大雨の中生徒に会いに行くなんて出来ないなぁとか思ってました。
めちゃくちゃ子供好きで先生やってますやんこの人って。

だからこそ、彼が数度口にする「男らしく」という台詞。
恐らく"知らずに傷付けてますよっ"て意味と、湊くんが嘘をついた理由付けとして脚本にあるんでしょうけど、凄くわざとらしく感じたなぁ。
例え湊くんのパーソナルな部分に気付いてなかったとしても、あんな事を言うキャラクターには思えず違和感が拭えなかった。

アンケートで、真実を告発出来る子供がひとりでもいた事を願う。
クラス全員が雰囲気に流されて傍観する程先生が人気無いようには見えなかったけどなぁ。

敢えて言おう。
怪物は田中裕子さんの怖上手演技と柊木陽太くんの可愛上手演技であると。
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