たぬき

怪物のたぬきのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしかった
けど、安藤サクラ視点から瑛太視点の冒頭までがすこし、観る側としては観やすくなかった
校長先生から終盤は素敵だった、でも湊と星川が受けている色んなものが心情的に辛かった

で、その足で脚本版「怪物」の単行本を買った、読んだ(全然なくて池袋の三省堂で見つけた

う、ぐぬぬ、脚本で、はっきりと明記された湊の台詞や心情が、映画では省かれていた(撮らなかったのか、撮ったけどカットしたのかまだ未確認
なぜ、省いたんだろう

保利先生の心情も、映画よりもっと伝わってきた、描写とか、細かいところかもだけど
しかしこれは、蛇足で、お前どこ目線だよってなるんだけど、キャストは瑛太だったのだろうか
柄本佑とか、池松壮亮とか、思ったりして
それと、これは真に感じだけど、教職を本業としてる人が観たら、読んだらどう思うんだろうと興味がある
子どもたちにはその場で作ってしまう嘘や、ごまかしがあるかもしれない、子どもたちにとってあの学校がクラスがどういう場所なのか、そんな前提の部分って教職の人たちは構えるべきみたいなことは教わるんだろうか(教わらないんだろうか)、それでもその場で起きる突発的な出来事には、やっぱりそこで見えていることだけに目がいってしまうのだろうか
保利周りで、省いてほしくなかったのは、脚本にあった土砂崩れの方に早織と走って向かっていくところの保利の台詞だな
あの台詞で、保利の、ひとつ芯が見える気がする
多分、保利はあの学校にいる大人の中で、ダサくない、と思った

あと、映画のラストと脚本のラストは、結構受け取り方違うんじゃないかな
映画は死んだようにも見える(線路の方に行けないようにあった柵がないように捉えられたから)、でも脚本は99%生きてる

とにかく、映画は素晴らしかった
でも、なぜ湊のあれほどの確定的な台詞や心情を省いたのか、それが大きな謎だ

映画を観て、様々な感覚を持った人は、
ぜひ脚本(ムービーウォーカー出版)も読んでほしい

※脚本を映画として進化させられた点はもっちゃ多かった、それはもちろん
特に湊視点の、トンネルで早織に抱き寄せられその目線の先に星川がいて去って行ったカットは、思わず「ぁぁ…」と声が出た(隣の人ごめんなさい

※追記
湊の台詞や心情が省かれたところについて。
もちろん脚本から撮影時に変わることや、のちのち、カットした方がより良いとして編集されることは多いにある。今回、単行本に収録されているのは「決定稿」とあった。決定稿は、プロットから脚本開発があり、初稿となってからも何回も何回も改稿される、そして、脚本家・監督・プロデューサーなどがこれで撮影しよう、となるのが決定稿だ。もちろん、監督によってやり方は違うが、今回省かれた部分は、決定的というか確定的な表現だ。細やかな表現ではない。ので、その場合、決定稿の前に省かれていてもおかしくない気がした。おそらく、その表現を省くかどうかの判断には、ドラマがあったように思える。
たぬき

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