たぬき

秘密の森の、その向こうのたぬきのネタバレレビュー・内容・結末

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

すべてが個人的にどハマり、素晴らしい構成、構造、主人公たちが感じたであろう響き、全てのバランスが整っていて、誰かに勧めたい映画。(けど、勧めた人が気に入らなかったらどうしようと思うくらい、好きな映画)

これはねー、実はポスターに「それは、8歳のママだった」てあるんだけど、これ認識せずに観にいったんですよ
それがよかった気がするなーーー
赤い服の女の子と出会って、小屋を作ってて、あれ?もしかして昔のママじゃね?て思って、名前がマリオンで確信に変わって、そこからグッと引き込まれたので、その体験は、コピーを見ずに行ったことでしか味わえなかったような
(コピー、そこに触れなくて良かったのではとも思ってしまった)

で、内容としては、もうネリーと子マリオンが可愛すぎて、終始微笑みながら鑑賞
服装もめちゃんこかわいい、裏返しに着てたあのセーターほしい

で、これね、ただの時空飛び越え話ではないんよな、多分
子マリオンが、現代実家に行く展開は、えっ!来れるの!?てなったけど、そうか、大人マリオンが出ていった→色々と考えたいとかとにかく一人になりたいという気持ちが自分の子ども時代に帰っていったということかもしれないと
なので、ただネリーが時空を飛び越えたのではなく、マリオンの幼少時代への回帰とあいまって、二つの時間が入り混じった、もしくは、大人マリオンが幼少期を追体験しているところにネリーが訪れただけなのではないかと
(いわゆるタイムスリップではなく)

それを感じてから、設定や時空飛び越え的構造は全然気にならならず、その人たちの感情を追うことに集中できた気がする

素敵なシーンはたくさんあったけど、
ネリーが昔のおばあちゃんに「さよなら」を伝え合えたところと、
ネリーがお母さんに「マリオン」と声かけるところ(マリオンにのみカメラが向いていたのも含め)が、
ほんっとーーーーーーに素敵だった

子どものときってさ、感情の純度が高いだろうから、不思議体験を受け入れてからは怖がらないんだろうなーとか、ネリーの表情からそれが伝わってきて、嬉しかった

あと、尺が73分…すごすぎる
これがバランスだよな…

すっごい細かいところだけど、冒頭、ネリーが車中からお母さんたちを見ているシーン、音が小さくて、それも合わせて、あっ車中なんだと分かる演出(なのか?)とか、良かったなー
あんなにネリー視点なのに、結果お母さんにも感情移入できちゃうもんな、女優になるのが夢、とかさ、すごいぜーーー

パンフのプロダクションノートに、「リハーサルは行わず、その場その場で即興的に演出する」とあって、なんか腑に落ちた
観ながら、これどうやって演出してるんだろって良い意味でずっと片隅にあったから
特にボート漕ぐシーンは、ふたりのお芝居をしている感覚が一番抑えられていたような気がする、だってふたりともすっごい必死に漕いでたから(微笑ましいポイントのひとつ)
たぬき

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