たぬき

対峙のたぬきのネタバレレビュー・内容・結末

対峙(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

自分の人生のどのタイミングで観るか
図らずとも、そうでなくても
おそらく、その後の人生を歩むための何か、大きな何かが得られる映画

色々感じたことを羅列
・冒頭〜"被害"家族が教会に、部屋に入るまでの演出がホラー寄り(突然カットが変わるのとか、不穏な音楽や音、キャラクターの意味深な視線やその先にある景色など)
・冒頭の夫婦の会話や二組の夫婦の会話から、どちらが被害側でどちらが加害側なのか、容易に分からせない台詞や構成が巧み
・中盤、リンダが息子の話をしたあと、ジェイに画が移ったとこらから手持ちパート、多分後半ゲイルが隅っこに座りに行くくらいまで(記憶曖昧)
・手持ちパートのあと、すぐくらい、画の比率が変わった。画角を狭くすることで、観客によりキャラクターの心情に集中させる狙い?
・二人を赦す、そしてその息子を赦す、の台詞で二度泣いた
・四人が安らぎを得て、黙祷のような時間があったのちの、不穏な音楽。これで何もかも、すっきりになったと感じたのちの、でも、大きな大きなひとつが解消されたあとに、また別のなにかが生まれることは往々にしてあることだろう。
・別れ際の、先に出ていくことを選んだリチャードは、もしかしたら、今日はこれ以上一緒にいることが得策ではないことを感じたからかもしれない。
・でも、そのあとに戻って二人に息子への思いを伝えたリンダ。(そこでまた泣く)。それは、相手に自身を理解してもらいたいという願いと、自分の息子に同情の余地がないなどと思われないようにしたいという潜在的な感情があったのかもしれない。その場合は、リチャードよりも、リンダは、息子へのエゴ的な愛が強いとなるか。
・その話を聞いたゲイルとジェイ、特にジェイは、相手の夫婦も同じなんだと、ある種の幻想的な感情に支配されたように見えた。
最後の、リンダと二人のやり取りは、それまでの経緯を見た僕たちにとってもしかしたら、一番残酷なものだったかもしれない。つまり「赦す」と言ってしまったから。でもそれは、一番、素晴らしく偉大な行動。ただその偉大な行動を取った二人には、また別の重荷が出てくるのかもしれない(そうでないと願いたい)。
たぬき

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