ジーハ

怪物のジーハのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

まだ7月に入ったばかりだけど、
たぶん今年1番の作品に出会ったと思う。

毎年色々観る作品の中で、
正直、邦画でここまで感情を揺さぶられ
る作品にはそう出会えない。
もちろん期待もしてたし、その期待は
裏切らないだろうという確信もあった。
でも「怪物」はそれを超えた。


ある教室での男子2人のケンカ。
怪我をして帰宅する息子。
それはイジメだったのか?
息子は被害者か加害者か?
責任転嫁するコミュ障の担任?
頑なに「謝罪」しか口にしない学校。
…全てに憤る母親。

そして嵐の朝、
ケンカをした2人の少年、
湊と依里が忽然と姿を消す。

少年2人が失踪するまでを
湊の母親、学校、担任教師、それぞれの
視点で丁寧に何度も辿っていく。
各々が抱く不信感と不安が複雑に絡み合い
、食い違う話に観てるこっちの疑問も広がっていく。

脚本がさすが素晴らしく巧み!

そしていよいよ最後、少年2人の視点…
彼らが失踪した真実を知ることになる。

繰り返し見たり聞いたはずの
2人の同じセリフや表情、行動が、
その真実を知ってしまってからは、
どうしようもなく切なくて、、
たまらない気持ちなった…


ラストの彼らを包む清々しい光と緑。

リンクして流れる濁りのない音に
気持ちが一気に浄化された。
でも同時に胸も締めつけられた。

劇場を出てからエスカレーターで
友人に映画の感想を伝えようとしたら、
途端に納めていた感情が溢れ出て言葉よ
り先に涙が止まらなくなった。

日が経った今もまだ、
湊が、母親の運転する車から突然ドアを
開け飛び降りたあのシーン…
あれを思い出すと、心がギュッとなって
泣きそうになる。

エンドロールしかり、
この作品では音に気持ちを救われた。
音楽室で湊と校長がトロンボーンを
吹くシーンも良かった。

そして…これから新しい坂本龍一の音は
もう聞けないんだ、てことも「切なさ」
とリンクする。

私にとってはきっと今年一番です。
(たぶん。。知らんけど笑)

あと、少し古いけど坂本裕二脚本の瑛太✖️満島ひかり主演のドラマ「それでも、生きていく」が私は大好きだった。「怪物」が心に残った方にはぜひ見てほしいドラマ。私も再鑑賞の予定です。
ジーハ

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