ジーハ

空白のジーハのネタバレレビュー・内容・結末

空白(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

社会で折り合いをつけて生きるということ。


誰しも社会性という名の下、
本音と建前を使い分け体裁を保ち生きてい る。そんな折り合いをつけてこの世界で生きて行く面倒臭さや息苦しさをこの作品を通して強く感じた。

ここではそんな人間が、偉い人ではなく、
むしろ痛々しい人たちとして描かれてた。


⚫︎スーパーで万引が見つかり、逃走途中
に車に轢かれ死亡した女子中学生。

⚫︎万引きした彼女を追いかけたスーパー
の店長(松阪桃李)

⚫︎娘は万引きなんかしない!死んだのは、執拗に娘を追いかけた店長だ!と彼を責めたてしつこく謝罪を強要しつきまとう父親(古田新太)
父親は、本音剥き出しの社会とは一線をかく、どちらかというと社会不適合者(職はあるけど…)でもこの中では忖度のない自分の感情に1番正直な人だったかもしれない。

⚫︎一方で、、
万引き逃走中、国道に飛び出してきた娘を図らずも轢いてしまい加害者になってしまった女性ドライバー。
彼女は自分の罪の呵責に苛まれ自殺。
…辛かったのが、自殺した女性の母親は、娘を失っても、本心を押し殺し頭を下げ続けていた。
究極の本音と建前…優しくて良い人ほど、精神がやられ現実に耐えられなくなる。胸が痛くなるキツいシーンだった。

⚫︎愛想が良い世話焼きを演じ、社会に馴染んでるフリをしてる草加部さん(寺島しのぶ)のストレス爆発でキレたさまの下品さったら、、、笑
見てて痛々しくて辛かったけど、みんな彼女の気持ちは多少たりとも理解できるはず。


⚫︎マスコミの報道のあり方…
マスコミが騒ぎ立て事件をどんどん拗らせていく。マスコミのゲスさも分かりやすく描かれていた。視聴率稼ぎの悪意ある編集とか、情報の捏造。
…1番ムカツイた。

誰が加害者で被害者なのか?

事件の論点がおかしくなっていく。
そして、このままドロドロの復讐劇に
なってくのか?と、思ったら全然違った。

まだまだ薄暗い海の向こう、
でも、確かに夜明けを感じるラスト。
見応え十分!大満足の作品でした。
古田新太ってやっぱりすごい。


この夏、日本で上演される古田新太出演の「パラサイト」の舞台を観劇予定。またどんな顔を見せてくれるのか?!今からすごく楽しみ★
ジーハ

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