冒頭の場面を見て、本作品が広義のアメリカ映画なのだと察した。希望と不安を胸に抱き、様々な地域からアメリカの地に降り立った人々がコミュニティを作り、世代を重ねることで「人種のサラダボウル」が形成されてきた。
そうした過程は一見して多様性を育んできたように見えるが、そこに移民間に差異・格差、世代間ギャップがあることを本作は伝えている。綺麗事で済まない鋭利さには鑑賞して唸った。
『ウェスト・サイド・ストーリー』等で描かれてきた移民の歴史、『イン・ザ・ハイツ』『エブエブ』に描かれた第二世代の葛藤を盛り込んだことに唸る。それでいて、凸凹コンビの掛け合いと活劇、火と水を絡めた軽妙な会話の応酬も楽しいのだから、絶妙なバランスだと思う。