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その夜の侍のstanleyのレビュー・感想・評価

その夜の侍(2012年製作の映画)
4.2
ミステリーのようにみえてしまう 
ちょっと変わった感覚にしてくれる作品 

お話としてはまとまりはあるのに 
歯がゆいというか 
腑に落ちないというわけではないけれど 
モヤモヤ?が残る 

それはこのお話が決して終わることなんてないからだと思う 
被害家族の加害者への憎しみは 
決して消えることも衰えることもない 

その感情こそが作品が終っているにもかかわらず 
嫌な余韻を残し、へばりついてくるのだろう 

リアルのようで、どこか他人事のように感じられ 
おもいきり泣けるわけでもないのに 
いつ自分に降りかかるかもしれない恐怖にも似た感情は 
心地の良いものであるはずもなく 
いつまでも気持ち悪い 

全編を通して刷り込まれていたんだと 
今になってようやく気付く 

演出ももちろんだけれど 
やはり演者からの刷り込みが大きい 
登場人物の誰をみていても胸糞悪い 

それが、その姿こそが人間なんだと思うと 
とてもやるせなくなるのだけれど 
ひとつの答えが明示されると見方が変わる 

それまで当たり前と思っていたことが 
当たり前なんかではなく 
懸命に生きて勝ち得たかけがえのないもの 
これこそがこの作品のテーマ 

そして、ラストへ 

これでもかってくらいに嫌な気持ちになるけれど 
受け取り方によってはめでたしめでたしかもしれないし 
ボクみたいに嫌な余韻に浸れることでしょう
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