荻上直子監督の最新作。
予告から「あらぁ、いつもと違う感じ」と
思っていたけど、
久しぶり邦画らしい邦画を見た印象です。
多くを語らず、最近のトレンドの
｢共感」とか「没入｣とかを
蹴り上げて「見えるものと見えないもの」
の不協和音のような気持の悪さ、
居心地の悪さをなんとも巧みに
表現しています。
主演の筒井真理子さん、
出ずっぱりで間違いなくハマり役。
作中ほどではないにしても
じきに迎えるであろう彼女の年代の
女性がぶつかる
「自分以外のままならないもの」
に前半は心を乱さずなんとか
やり過ごそうとする姿、
そして後半は、、、、。
柄本明、江口のりこ、ムロツヨシなど
荻上作品常連組が贅沢な端役として
登場します。『ダメ男役の殿堂入り』
させたい光石研さんも健在。笑
裕福家庭の象徴のような閑静な住宅街
整然と片付けられている家の中
こぎれいな服装で「勉強会｣に集まる
新興宗教の信者たち
従順なようで空気を読まないしたたかな
息子の彼女
目に飛び込んでくるものに
現実味を感じることの出来ない
不気味さ、そしてキャッチの
｢絶望を笑え｣を体現したラストに圧巻。
劇場では｢難しいなぁ｣と
思いながら観ていたのですが、
後々、じわじわくる1本です。
前作同様死生観が強く出ている荻上作品。
今後も観ていきたいと思います。
