この作品は「私の大の苦手」村上春樹の
原作なこと、3時間に及ぶ上映に覚悟が
出来なくて公開時はスルーしてしまいました。
まずは、劇場で観ることが出来て
本当に良かったです。
これは劇場でないと感じられないものが
たくさんある作品で海外の映画祭でウケの良い日本映画のイメージを覆してくれたことが大収穫でした。
冒頭のシーン、夫婦のピロートークから
「あー、やっぱり村上春樹だ。やばい失敗したか??」と思った矢先に美しい映像と言葉の応酬であっという間に、力が入ったまま作品に引き込まれました。
村上春樹の短編からチェーホフのワーニャ伯父さんに
リンクさせる凄まじい脚本力、タイトル通り車内、
車窓、車、そして東京、広島、北海道の風景の映像の力、映画人の総力が詰まったような作品です。
難解だ。
余白が多すぎる。
そんなレビューも少ないないですが、
私は文化や教養を備えた大人が
作品と向き合って自分なりの
考察を深めるような日本映画が
あまりにも少なくなり過ぎてるなと
思っています。
ワーニャ伯父さんの最終幕のソーニャの
台詞はあまりにも有名ですが、
それを「韓国手話」という技法を
取り入れた事、韓国の女優さんと西島さんの
お芝居の素晴らしさ、このラストの
余韻を感じるだけでも劇場で観る価値はあると、
私は思いました。
