荻上監督ならではの優しさやユーモアに溢れていながらも今までと異なる点として常に死や死生観を突きつけられるようなこの作品。
と同時に「生きること」へのメッセージ性がとても強いです。
生きることは働くこと
生きることは食べること
心に闇を抱えながら
そして、皆貧しい「ギリギリな人たち」のムコリッタハイツの住民たち。
それでも、工場での単調な仕事を終えて夕方のお寺の鐘の音を聞きながら炊きたての白飯と工場からもらうイカの塩辛を類張る山田(松山ケンイチ)を見ると「ささやかな幸せ」この言楽しか出てこなくなります。
幼い頃に別れた父が孤独死を遂げ、その遺骨を引き取ることになった山田は父親ら
生活苦による自殺だったのではと思い、再び役所に尋ねたところおそらくそうではなく、むしろ
「丁寧な暮らしをされていたのではないか」
という言葉をもらいます。
そう。
巷に溢れるこの「丁寧な暮らし」という言葉。
いつの間にかこの言葉は時間的にも金銭的にも豊かな人の特権のごとく
流通しているように感じていてずっとモヤモヤしていたので一気に報われたような思いでした。
そのほかにもグッと来るエピソードとシーンの連続でただただ
シンプルにおすすめしたい作品です。
「明日、仕事嫌だなー」と思いはじめる休日の夕方などに、ぜひ。